日本発グローバル企業の経営者ブログ

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お役立ち:トップの海外出張術

管理職になったことから海外出張が激増し、一時は一年の半分近くを海外で過ごした。社長になってからは、滞在期間よりも出張回数が増えた。その中で、身に着けた海外出張の工夫について紹介したい。

特にリスク管理には敏感になってほしい。ヨーロッパ同時多発テロの起こった週末、私はブラッセル出張を予定していた。コンゴ紛争に端を発するベルギーの武器闇市場の記憶がかすかに蘇り、リスクが高いと思った。会議の予定は変えられないので、リスクを少しでも下げることにした。週末だが、フライト、ホテルをすべて見直して変更してもらった。こういう場合は『決めた。週末で悪いがやってくれ。』と言う迷いも、妥協もない一言が重要である。それが結果的に部下を動きやすくする。

・フライトの選択は自分で行う

出張経験が一番豊富で、出張目的を理解しているのは自分である。自分でフライトを選び、それを秘書に渡して手配を任せるのが最適な分業だ。

最近は、日系航空会社のフライト・スケジューラーも改善されて、使いモノになるようになった。往復は日系を使うことが多いので、それを使うのが一番早い。

・直行便を使う

トランジットのリスクは大きい。米国での入国審査、雷雨、霧のような気象条件、機材の不具合など何か一つでも、トランジットはうまくいかなくなる。一つのトランジットミスで、多くの人に迷惑をかけてはいけない。海外での国内移動も、移動も極力直行便を使うべきである。

・時差ボケ防止には出張分割

三か所以上の出張は、直行便の単純往復に分割することを考える。一週間以上滞在すると時差ボケから回復に時間がかかる。短期間の往復なら、回復も早い。

・荷物は持ち込みだけ

預けた荷物がちゃんと出てくる保証はない。観光はともかく、ビジネスでこのリスクをとる価値はない。機内持ち込みサイズを確認して、荷物はコンパクトにまとめる。短距離専門の小型機では搭乗口で預けることになるが、間違えられないように目印をつけておこう。荷物をまとめるコツは、また別の機会にまとめたい。

・機内ではリラックス

視力の衰え、つまり老眼になってからは、機内での読書はあきらめた。また、低気圧・低酸素、極度の乾燥と騒音に囲まれた機内では、思考力も鈍る。あれこれ考えてもよいアイデアは出ない。フライト時間は休養と考え、リラックスするように心がける。楽な服装に着替える、耳栓・ノイズキャンセリンングイヤホンを使う、自分にフィットするアイマスクを持参するなど工夫する。

・温度と体調管理

日系と欧米、アジア系航空会社では、機内の温度設定が大きく異なる。欧米系はとにかく寒い。乗ってみないと分からないので、ウィンドブレーカーなど重ね着できるものを持参した方がよい。ホテルも同様だ。部屋に入ったら、ます温度コントローラーをチェックすること。

・シートの機能をチェック

ロングフライトでは、フルフラットは必須である。最新版のシートに一気に全部が変わるわけではないので、航空会社サイトで自分が乗るフライトのシートチェックが必要である。
BAに続き、ANAが導入したスタガードは、プライベート感、出入りのし易さなどが素晴らしく、実に革新的だった。現在は、JALJAL Suiteで一歩リードしている。ANAの巻き返しを期待したい。

・座席の位置

シートマップを見てシート配列は確認しておく。私は短距離は窓側、長距離は通路側を基本にしている。2-2-2の配列であれば、隣人の出入りを気にしなくて良い、真ん中の島のシートを選択する。ただし、米国国内線では超ヘビー級の乗客、スタッフが行き来する度にフロアのパネルが大きく沈み、通路側席は上下に揺れる。米国では窓側も選択肢だ。

また、最前列は避けた方がよい。最前列はブリーフケースを置く場所がなく、離着陸時にはキャビンに入れなければならない。ワインの品定め、お代わりをしやすい、2-3番目がよいだろう。

・遠慮なく呼び出しボタンを使う

私も最初は遠慮から抵抗感があったが、割り切って使うことにした。声をかけるタイミング待つよりは、即押した方が精神衛生にも良い。ただし、頼み方は丁寧に、笑顔でお礼も忘れずに。仕事も出張も、コミュニケーションは重要だ。

・空港ホテルを上手く使う

空港へのアクセス回数が増えるのは、時間、交通渋滞のリスク等で無駄が多い。毎日の荷造りもこたえる。例えばヒースローには空港内にホテルがあり、そこを拠点にヨーロッパ各国を日帰りことが可能である。そうすると、ホテルは連泊で荷物は置きっぱなしですむ。疲労度は、びっくりするほど軽減される。

・リスク感度を100倍に

危険度をゼロにすることは出来ないが、少しでもリスクを減らすことを考える。
例えば、ヨーロッパではユーロスターTGV以外の鉄道には乗らない。危険地帯にある駅舎、改札のないヨーロッパの鉄道は治安が悪く、窃盗団が闊歩していると思った方がよい。言うまでもなく、テロリストのソフトターゲットでもある。
また、誘拐ビジネスが盛んな中南米、アジア、中東、アフリカの一部も気を付けた方がよい。リモの手配も、普段と違う会社を使う、本当に依頼したドライバーが来たか確認手順を準備することは有用だ。会社での地位=身代金なので、間違っても社長が来るとは言ってはいけない。事件の背後には必ず、内部情報の洩れがある。

最後になったが、外務省の海外渡航者登録『たびレジ』は面倒がらずにやろう。

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