日本発グローバル企業の経営者ブログ

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論説:企業のグローバル化と国益

9月1日の日経夕刊の十字路に、中前忠氏の『消費減税と企業増税』が掲載された。

企業のグローバル化とともに、母国日本の国益と微妙なズレが発生する点について、大変重要な論考だと思うので取り上げたい。

中前氏の指摘を要約すると、以下のようになる。日本の勝ち組企業はグローバル化のため海外事業への投資を拡大する一方、中小企業を中心にとどまり続ける企業の業績は低迷している。その結果、企業間で付加価値、人件費格差が広がり、そのことが労働分配率、ひいては国内消費の伸び悩みにつながっている。法人税減税を減税しても企業の海外投資シフトは続くので、国内活性化の効果は小さく、むしろ消費減税を考えるべきだ。

中前氏が、消費減税に焦点を当て、法人税増税に言及しなかったのは正しい。日本企業が競争力を持つためには、グローバル化は不可避である。日本と並んで法人税の高かった米国が法人税減税に向かう中で、日本の法人税のみが高止まりすると、グローバル化に拍車がかかることは間違いない。

近年、規模と競争力ともに世界市場でトップランクに入る企業の数は減少する一方である。日本企業のグローバル化は加速しなければならない。日本企業はグローバル化することで、日本に残す機能を強化し高度人材の雇用機会を維持することで貢献できるのである。

こうした企業の成長意欲まで打ち砕く政策を実行するとしたら、近い将来日本は、重要な産業基盤、高度人材の雇用機会などすべてを失うことになるだろう。

 

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